[タクシープール for 東京特別区・武三 えでぃしょん]>[トラブル実話?]>[こめつきバッタ、それでも乗務員の勝ち!!] |
2002-01-05 21:14
バージョン
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[複数の入り口]
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[最近の更新履歴]
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エントリーNo.
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t0001 |
タイトル
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こめつきバッタ、それでも乗務員の勝ち!!
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場所・立地条件等
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国道246号線、別名玉川通り下り方向、三軒茶屋付近より乗車。 |
状況
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目的地は“駒沢”、駒沢の交差点を左折との指示。 |
利用客に目的地を告げられた時、乗務員は何を勘違いしたか後方を指さして、「“駒沢”は反対ですよね?この先でUターンすればよろしいですか?」と確認。当然、利用客は「何言ってるんだ」と文句を言う。だが、乗務員が勘違いしている事にすぐには気づかず、困惑して黙り込んでしまった。2〜3秒程の沈黙の後、利用客は言葉を続ける、「今ここはどこだ?三軒茶屋だぞ?寝ぼけてんじゃねえぞ。」乗務員は三軒茶屋にいる事を勘違いしたのではない。まだ1ミリも走ってはいない。「はい。ここは三軒茶屋ですよね。」と言いながら、まだ困惑している。利用客は続ける。「ここをまっすぐ、ずっと行ったら多摩川越えて川崎だろうが。しっかりしろよ。」乗務員は方角を勘違いしたのではない。「はい。そうですよね。」と返事をする。川崎の方に同じような地名があるのだろうかとも思いながら、まだ困惑している。利用客は声を荒げながら続ける。「客をなめてんのか?さっさと出せ。」乗務員は、まっすぐ行けばよいのか、Uターンするのかわからないまま実車発進する。 その瞬間、乗務員は何を勘違いしていたのかがわかった。Uターンできる場所を思い浮かべたのだ。世田谷警察署前の信号、上馬の信号、その先に行ってしまうと完全に・・・と思い、上馬の信号の向こうの景色を思い浮かべた時。“駒沢”と“駒場”を勘違いしていたのだ。聞き間違いとかではなく、“駒沢”と言われて“駒場”の景色を思い浮かべていたのだ。乗務員は恥ずかしいのと、お客様に大変失礼をしてしまった、という気持ちでいっぱいになった。当然即座に「お客様、大変失礼いたしました。私が勘違いをしておりました。」と言うと、乗客は「うるせえよ。前見て走れよ。」と怒鳴り気味である。乗務員は車を走らせながら乗客の方を振り向いてなどいない。それどころか、まともに顔を見れないくらい恥ずかしくて、ルームミラーに目をやってすらいないのだ。 乗務員は、完全にお客様の機嫌を損ねてしまったと思い反省しながらも、やってもいないような事まで文句を言われた事に不快を感じていた。しばらくまっすぐ走って、上馬の信号にさしかかると、その先の流れが悪い事に気付いた。そこで、上馬の信号を越えてすぐ、一番左へ車線変更した。他の車は路上駐車を嫌って空いているのだ。駐車車両の手前で右へ戻る。そうすれば何台か前に出られるのだ。道が混んでいる時には常套手段である。それを繰り返す事によって、周りの流れよりも速く走る事が出来るのだ。 そしてもう一度、一番左へ車線変更した時である。乗客が今度は、完全に怒鳴った。「何やってんだ!!」乗務員は何の事だかわからずも、反射的にアクセルを放す。「ここは間中の交差点だろうが!!」乗務員は一瞬、また何か勘違いしたのかとも思い、今度は反射的にブレーキを軽く踏む。その直後、目の前の駒沢大学駅前の信号が黄色になった。やむなくそのまま減速する。駒沢大学駅前の信号は、昔、“間中”と名が付いていたらしい。その事は知っていた乗務員は、乗客に何を指摘されているのかわからず困惑する。乗客は言う、「誰がここで左に曲がれと言った!?」三軒茶屋からずっとまっすぐ走って来たのだ。一度も曲がっていない。先ほど車線変更時に出した左ウインカーは怒鳴られる前に消している。駒沢大学駅前の信号のすぐ手前で一番左へ車線変更したのを左へ曲がろうとしたのだと、今度は乗客が勘違いしたようだ。目の前の信号には間違いなく、“駒沢大学駅前”と書いてある。乗客が最初に言っていた“駒沢”の交差点はこの次だ。大丈夫、今度こそ間違いない。乗務員は「はい。ここではなく次ですよね?左折する、駒沢の信号は?」と言いながら、目の前の信号の数メータ先に路上駐車があるので、青になったら素早く発進し、同じく信号待ちをしている右側の乗用車の前に出ようと思い、右にウインカーを出し、数センチ程前進する。まだ信号は赤である。青になったら一番前に出る気でいるという事を、右側の乗用車にアピールしているのだ。 すると、また乗客が怒鳴る、「今頃ウインカー出してんのか!!ふざけるな!!」ふざけてなどいない。まだ青信号のうちに右ウインカーを出そうと右手の指が動いた直後に、怒鳴られて困惑し、ウインカーを出さずにアクセルを放したのだ。そう思い、乗務員は腹立たしかったが、自分が客商売をしている事を忘れず、先に不愉快な事をしたのは自分なのだと思い、自分の気分を隠し、冷静に、丁寧に、「先ほどは大変失礼いたしました。私が勘違いをしておりました・・・」と言いかけたところで、乗客はまた怒鳴る、「しっかり走れよ!!何やってんだ!!ちゃんと走れ!!」乗務員はもっと詫びを言いたかったのだが、乗客の怒鳴り声に遮られたのだ。そうこうしているうちに信号が青になり、すかさず安全を確認しながら発進する。接客は大切だが、乗客に気を取られて過ぎてもたついたのでは、それこそまた怒鳴られてしまう。 問題なく、右側の乗用車の前に出ると、そのまま一直線に、実に軽快に、駒沢の信号まで辿り着いた。が、その実に短い間、後部座席では乗客があることないことかまわず怒鳴っている。もとをただせば、自分の勘違いが事の発端である。言われるがままに「私が最初に勘違いしました」「大変失礼いたしました」と何度も詫びる。 駒沢の信号の手前で左ウインカーを出してから、一番左に寄り、乗客に気を取られ過ぎていると危険だと思い、十分に安全を確認しながら左折を始めた。すると、左にハンドルを切り始めているのに、「ここを左に曲がるんだよ!!」と、乗客が怒鳴る。よほど怒鳴り返してやりたかったが、「はい。これでよろしいのですね。」冷静に、丁寧に、乗務員は返事をしながら、左折を続ける。今度は怒鳴られたからといって動じず、冷静沈着に車を走らせる。 さて、このあと、どこまで行ってしまってよいのだろう。先程から乗客は、運転席や助手席を後ろから蹴飛ばしたり殴ったりして、怒鳴りっぱなしだが、この先の指示をしてくれていない。確認しなければ行き過ぎという事にもなりかねない。何とか早く確認しなくてはと思い、言葉を挟もうとするが、乗客は時折、「うるせえよ」と怒鳴りながら耳を貸してはくれない。さあ、困った。一端、停車してしまった方がいいかとも思い始めた時、乗客はひときわ大きな声で怒鳴った、「停めろ!!そこで停めろ!!」すかさず、それでも決して急ブレーキにならないように細心の注意を払いながら、なるべく短い距離で停まった。「どこまで行く気だ!!馬鹿野郎!!」乗客は怒鳴る。「行き過ぎましたか?」と乗務員は伺った。すると「誰がそんな事を言った!!言ってもいないのに言いがかりつけるのか!?おまえんとこは何処のタクシー会社だ!?」そう怒鳴りながらも、乗客は現金を受け皿に置く。少し乱暴にだが、決して投げるわけでもなく、叩き付けるわけでもなく。「この場所でよろしいのですか?」もう一度確認すると、「俺がここで停めろと言っただろが!!ここじゃなかったら何処で降ろす気だよ!?」と怒鳴るので、どうやらこの場所で問題ないようだ。さて、余分に走った訳でもなく、メーター料金を乗務員が読み上げもしないのに、現金を出しているのだから、どんなに乗客が不機嫌でも受け取っておいていいだろう。そう思い、金額を言いながら釣り銭を領収書と一緒に手渡す。「ご確認下さい」と言葉を添えて。 「この領収書は、おまえんとこの会社の電話は書いてあんのか!?」乗客は飽きもせず怒鳴る。「はい。記載されております。」冷静に、丁寧に答えると、「会社に電話して言ってやる!!てめーんとこは客を馬鹿にするのかってな!!」とまだ怒鳴っている。これで最後だと思い、ちゃんと申し訳なさそうな顔をして「大変失礼いたしました」続けて、しっかり笑顔で「有り難うございました」乗客の顔を見ながらそう言うと乗務員は、後部座席とその足下に忘れ物がない事を自分の目で確認し、素早く安全を確認してドアを閉めた。やっと解放されたのだ。もう解放されたのだ。慌てては損をする。つまらない失敗をする。そう思い、しっかりと周りの安全を確認し、満面の笑顔を浮かべながら、ゆっくりと、発進した。 |
地
図 に よ る 説 明 |
水色の矢印付きの線が、お客様の指示。 赤色の斜線部分が、目黒区駒場の1丁目から4丁目で、その範囲内に京王井の頭線駒場東大前駅がある。 |
事
後 談 ・ コ メ ン ト |
この乗務員さん、「あれだけ怒鳴って暴れていたお客様が、料金を支払おうと現金を出した時の、あのアンバランスな感じが印象的でしたね。」と言ってました。こういうタイプのお客様は実際に居ます、希にですが。 |
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迷惑度
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